断絶の世界

アルバイトと大学の往復生活

大学4年生になったばかりの春、度重なる飲み会の末、学生ローンの借金は50万円を超えていた。
その生活から脱却しようと、仲間に事情を話して空いている時間は全てアルバイトの時間に充てた。

朝起きて学校に行き、授業が終わればバイト先へ直行である。
友達との付き合いを一切絶ち、完全に断絶の世界で生きていく事え決断したのだ。

元々こういう生活が自分のスタイルだったので、昔に戻っただけだ。

アルバイトは喫茶店の遅番がメインで、気が付けば厨房もやるようになっていた。
調理師の免許は当然持っていなかったが、喫茶店のマスターがやれというので気にせずやっていた。
自分が鍋を振ったスパゲティーのお皿がキレイになって下げられた時は、本当に嬉しかったのを今でも覚えている。

はじめはホールを担当していたのだが、それまで厨房で鍋を振っていたベテランのアルバイトが突然辞めてしまい、急きょ白羽の矢がたったのだが、前の人も早稲田大学に8年も通うバイトだったので、調理師免許は持っていなかったと思われる。
これが法律的にどうなのかは知らないが、今まで自炊すらした事がない自分が、まさかお金を貰って人に食べさせる事になろうとは、夢にも思っていなかった。
それだけに、この喫茶店のアルバイトは、戸惑いとやりがいの複雑な心境の中で、たんたんとこなす毎日だったのである。

学生ローンの返済

大学3年生の夏から秋にかけ、飲み代で積み上げられた学生ローンの借金は、ほぼキレイに片付いた。
まだいくらかは残っていたが、もうほぼ完済と言って良いだけの金額にまで減っていた。
得たものは学生ローンの残高を減らした事。
失ったものはとてつもなく大きなものをなくしてしまった気がする。
あれほど毎日誰かと飲み歩いていたのに、今では声をかけられる事もなくなった。
自分から声をかければ良いのだが、自分はそんなキャラじゃない事と、また毎日飲み会になってしまったらという恐怖感でそれができない。
学生ローンの返済がほぼ終わりに近づいているので、まぁそれはそれでヨシとする事にした。

悪魔の誘い

毎日を平凡に暮らしていたある日、友人がだいぶ前から株で儲けている話を聞いた。
ギャンブルには一切興味はなかったのだが、株は社会勉強にもなるし、友人と共通の話題も持てる。
そして、儲かれば言う事ないじゃないかと思い、つい手を出してしまった。
 
これがいけなかった。
最初の株がビギナーズラックとなり、金額は僅かだが儲かった。
1万円ほどである。

それからというもの、株がやみつきになり、気が付けば学生ローンの借金が増えていた。
また降り出しである。

いつになったらこの地獄から抜け出せるのだろうか・・・

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